注文住宅を建てる際にはまとまった金額が必要だということは想像がつきますが、具体的にはどれくらいの費用がかかるのか分かりにくいという方も多いのではないでしょうか。ここでは注文住宅を入手する際にかかる費用の相場や内訳、また、予算を決める際に押さえておくべきポイントについてご説明します。
注文住宅の建築費用の内訳
予算を検討する前に、まずは注文住宅を建てる際にかかる費用の相場と建築費用の内訳について確認しておきましょう。費用の相場については、住宅金融支援機構の2020年フラット35利用者調査で確認できます。
この調査によると、注文住宅を建てる際の所要資金は全国平均で3,534万円、土地付きの場合の所要金額は4,397万円で、住宅の新築工事のみの平均金額と比べると、約860万円の差があることが分かります。
次に費用について見ていきましょう。注文住宅の新築工事費用・税金は、大枠として建物本体工事費、付帯工事(別途工事)費、諸費用の3つに分けられます。
建築本体工事費
建物本体の建築にかかる費用のことで、以下の3つに分類されます。
・躯体工事費:仮設工事(足場)、基礎工事、木工事(構造や骨組み)にかかる費用
・仕上げ工事費:内装工事費、屋根・外壁・内壁・天井の仕上げにかかる費用
・設計料:ハウスメーカーによっては本体工事費に含まれる場合があります
付帯工事(別途工事)費
建物本体の建築以外にかかる費用のことで、以下の4つに分類されるのです。
・地盤調査・地盤改良工事費:地盤に関してかかる費用
・外構工事費:建物の外側(駐車場・庭・門・塀など)にかかる費用
・インフラ関連の工事費:水道管やガス管を敷地内に引き込む工事費用
・設備の取付工事費:照明・エアコン・カーテンなどの購入や取り付けにかかる費用
諸費用(税金含む)
上記の2つ以外にかかる費用のことで、以下の5つに分類されます。
・税金:不動産取得税・登記免許税・印紙税など
・住宅ローン関連費用:住宅ローン事務手数料・保証料・団体信用生命保険料
・登記費用:土地の所有移転・表示登記・所有権保存登記にかかる費用
・司法書士への報酬:登記に関する手続きを依頼する際にかかる費用
・引越し費用:建て替えの場合は仮住まいの費用も発生する場合があるので注意
注文住宅の予算の決め方
ここでは注文住宅を建てる際の予算の決め方について見ていきましょう。確認する項目は自己資金、住宅ローン、土地代と建築工事費のバランスです。
自己資金をいくら出せるか確認する
まずは、ローンの頭金やローン実行前の諸費用の支払いにあてる自己資金をどれくらい準備できるのかを確認します。自己資金は貯金や親からの援助、現在の住居の売却金の合計から将来のために残しておくべき資金を差し引くことで計算できます。ここでは安易に将来の資金を低く見積もらないように注意しましょう。
次に自己資金の中から住宅ローンの頭金に使える金額を割り出します。土地の売買契約や工事契約の手付金や諸費用、引越し費用などは住宅ローンではなく手元資金で支払うことになるので、ローンの頭金に入れてしまわないよう注意しましょう。
住宅ローンの借り入れ可能金額と月々の返済額を確認する
自己資金、頭金が算出できたら、次は住宅ローンの借入金額と月々の返済金額を確認しましょう。返済に無理が生じない住宅ローンの年間返済金額は、一般的に年収の25%以内といわれています。
金利は固定金利と変動金利があり、固定金利のほうが利率は高くなりますが、変動金利が完済まで低い金利のままという保証もありません。いずれも住宅ローンは借入金よりも返済金のほうが高くなるということを覚えておきましょう。
土地代、建築工事費のバランスを考える
土地代と建築工事費のバランスは、一般的には4:6~3:7の割合といわれています。土地の取得に費用をかけすぎたがために満足な家づくりができなかったということがないよう、注意しましょう。
注文住宅の予算を決める際の注意点
注文住宅の予算を決める際には次のポイントに注意しましょう。
住みたい家をしっかりイメージしておく
せっかく注文住宅を建てるなら、可能な限り家族の希望を実現したいですよね。そのためには住みたい家をできるだけ具体的にイメージして、実現したいポイントに優先順位をつけておくとよいでしょう。そうすることで予算の配分がしやすくなり、建築工事費が足りなくて優先順位が高いものまで妥協せざるを得ないなどの事態を回避できるでしょう。
頭金をつくる際に貯蓄を使いすぎない
住宅ローンの負担を減らそうとするあまり頭金の割合を増やし過ぎると、子どもの教育資金や病気や介護の際に必要な資金が足りなくなってしまうかもしれません。貯蓄を使い過ぎず手元資金は計画立てて残しておきましょう。
まとめ
注文住宅を建てる際は家づくりと並んで資金計画がとても重要です。理想の住まいの実現にかかる費用と暮らし始めてから将来にわたって必要な資金のどちらにも偏ることなく、バランスよく予算を決めましょう。